印傳 瓢箪(ひょうたん)
【印伝(印傳)】
動物の革は、古代から武具などの衣類や生活用品などに加工されて親しまれてきました。
現在でも多くの革製品が私たちの身の回りに存在しています。
その中でも、印伝(いんでん)は主に鹿の革を加工して作られた皮革製品で、単純に皮をなめして使用するのではなく、革をなめした後に染色を行い、漆で模様を描いているという特徴があります。
印伝の名の由来はインド(印度)に由来します。南蛮貿易が盛んだった17世紀、オランダの東インド会社から伝わったインドの装飾革に「インデア革」と呼ばれる革があり、印度伝来のものという事で「印伝」と名付けられました。その後、和様化した装飾された鹿革製品を印伝と呼ぶようになり、現在に繋がります。
茶缶では、この漆で作られる模様を和紙の上で描き、缶に貼り付けています。
【瓢箪(ひょうたん)】
瓢箪は、昔から神霊が宿るものとされ、祭具に用いられてきました。細くくびれた形は、吸い込んだ邪気を逃さず、末広がりな形は縁起の良いものとされてきました。
また、瓢箪は一つの実からたくさんの種子が取れることから「子孫繁栄」を連想させたり、いろんなものに絡みつきながらたくさんの実をつけることから「商売繁盛」の意味合いも含まれていて、お祝い事に好まれています。
熨斗について
熨斗と言えば、贈答品の上に掛ける紙を想像される方が多いかもしれません。
しかし、贈答品に掛けられた紙はいわゆる「掛け紙」であって「熨斗」ではありません。重要なのは、その掛け紙に描かれているものです。横に赤く引かれた線は「水引」と言います。そして、その右上に描かれたもの、これが「熨斗」と言われているものです。熨斗とは、もともと熨斗鮑と言い、干しアワビが起源とされています。日本書紀によれば、天照大神の命によって倭姫命(やまとひめのみこと)が伊勢に御鎮座を終えたのち、 志摩の国崎(くざき)で海女から差し出された鰒(あわび)にたいそう感動し、伊勢神宮への献上を求めました。 海女は、これに応えて「承知しました。生のままでは腐りますので、薄く切って乾燥させましょう」と言ったとか。これが、熨斗鮑のはじまりです。
また、鮑は古来より、栄養価が高く精がつくと言われてきましたので、最上級の贈答品であったと考えられます。
それが時代を経て、食べ物から儀式・儀礼のモノと変化していき、祝意を表すシンボルとなったのです。
【水引の種類】
◇蝶結び(花結び)
何度あっても良い祝い事や感謝の気持ちを示すときに用いられます。
例:御祝、御礼、内祝など
◇結びきり
一度結ぶと引っ張ってもほどけないため、二度と繰り返さないという意味合いがあります。
例:婚礼、弔事など
◇あわじ結び
結びきり同様、一度、結んでしまうとほどくことが困難な結び方です。
人生で一度きりでありますようにと願いを込められています。
例:婚礼、弔事など
【水引の色】
慶事では通常、紅白を使用することが一般的ですが、紅金や金銀を使用する場合もあります。
仏事では通常、黒白を使用することが一般的ですが、関西方面を主として、黄銀を使用する場合もあります。